茶箱
男ってだれでも、いくつになっても、女の子の前ではかっこよくいたい生き物なのね
子ども向けの友情物語本かと思いきや、男親・男の生き方を考えさせる本でもあったわ
関口尚『はとの神様』
【著者】関口尚
【出版社】集英社
2021年の難関私立中学校、渋谷教育渋谷中学校の国語入試問題として出題されました。
茶箱
鳩レースといえば、中年の私すら新沼謙治さんしか思い浮かばない(笑)
令和っ子たちには、鳩レースの物語というと「なにそれ?」レベルの話かもしれないけれど、あくまでも鳩は物語のアイテムのひとつと思えば読みやすいストーリーよ
あらすじ・読みどころ
1986年
転勤族のみなとは小学校5年生
新しいクラスでも、家でも新しいお母さんになじめない
そんな居場所のない彼に声をかけてくれた悟、彼のお父さんの趣味である鳩がきっかけで、悟とみなとは隣町の同じ年の少女ユリカと知り合う
彼女が自分の家の鳩をレースに出してみたいという願いを叶えるために、3人の旅が始まった
茶箱
子ども3人の旅に途中から悟の父親も加わるの
この父親が”いい味”を出している男なのよ
本の後編は2010年
彼ら二人は35歳になっている
相変わらずはっきりしないみなとに、はっぱをかける悟
悟とみなとのふたりのライバルでもある友情は続いている
茶箱
お父さんのキャラが息子の悟にも継がれていってるわ
悟とみなとの友情物語と思いきや、この悟親子がこの本のキーポイントなのよね
● 子どもから大人へにかけての友情
● 親子関係(男親と息子の男同士)
● 鳩への信頼と尊敬からみつめる、人とは違うことに悩む自分自身の生き方
2021年渋谷教育学園渋谷中入試(国語)の入試問題を解いてみた
物語自体は読みやすいが、文章問題は長め
物語を読むことに慣れてないとウンザリしちゃう文章の長さ
茶箱
出題された部分は3人が小学生の物語(前編)の最後の部分
長い旅の終わり、ヒナの頃から大事に育ててきた鳩を、初めての長丁場の鳩レースに参加させる前日の3人の子供たちの会話から、レース当日の悟親子の会話の部分よ
子ども3人の鳩への気持ちと、父親の息子への気持ちがリンクするわ
●鳩への子供たちの想い
●親子のお互いの気持ち
●鳩のことを考えることで自分の生き方について考えた悟の気持ち
茶箱
大人の私が解いてみたところ、主に悟の鳩への気持ちを読み取る問題だったわ
選択問題が多め
選択肢のどの解答も当てはまりそうな気がするので、物語をしっかり読まないとならないわ
こういう問題って「本を読むのが好き!」ていう子どもが苦手な問題なのよね
記述式問題も解答は71文字以上が求められていて難問よ
関口尚『はとの神様』 役立つちょこっとメモ
●主人公:悟、ユリカ、みなと小学5年生
●舞台:主に旅の途中
●フリガナなし
●本の長さ:293ページ(単行本)
●初版:2011年4月
●作者の関口さんは実力のある児童文学作家。2002年『プリズムの夏』が第15回小説すばる新人賞を受賞してデビュー、2007年『空をつかむまで』で第22回坪田譲治文学賞している。
茶箱
関口尚『はとの神様』は、鳩を通して自分自身の生き方を考える、子どもたちの成長が頼もしく感じられた作品だったわ
大人が読むと、悟の父親の人間性の魅力が光る物語でもあると思うわ
鳩も人も、もちろん息子にも愛をもっている彼の心の広さがカッコいいのよ
悟の父親とは逆に、みなとの父親の頼りなさも読みどころね
親になるのって難しいのよねと思ったわ
後半部分は彼らが大人になった後の物語
悟とみなと二人の友情をみていると、結局、人間って根っこの部分は変わらないのねとほほえましくも思えたわ
子ども同士の友情だけでなく、男親と息子の男同士の親子の関係、男の生き方と読みごたえがある物語よ
*読みどころや試験問題への感想は、あくまでも私個人の意見です。
続けて学ぶための本は?
父親と息子の関係が読める本は?
▼▼小嶋陽太郎さんの本『ぼくのとなりにきみ』がおすすめ