茶箱
人を信じるって難しいわね
数学の問題を解くよりも難しいわ
『星の子』今村夏子
【著者】今村夏子
【出版社】毎日新聞出版
芦田愛菜ちゃんが主演した映画『星の子』も話題になった作品です。
芦田愛菜ちゃんは子役時代から芸能界で活躍し、難関私立中学校に合格したことでも有名ですよね。
あらすじ・読みどころ
両親がとある宗教団体に入信しているちひろは、小さなころから両親とともに自然に宗教の集まりに参加している。
(ちひろに厚い信仰心はなさそう)
が、大きくなるにつれてその宗教がもとで、さまざまな問題にぶつかってしまう。
自分は何を信じているのだろうか?
これから何を信じていくべきなのか?
中学3年生になったちひろは、人生の岐路に立ちつつあるのです。
茶箱
宗教の話しというよりも、「何を信じているのか?」を問いてくる小説なので、だれでも読みやすいわよ
読みやすい文章なわりに、「う~ん」と考えさせる内容の物語なのよ
● 「信じる」とは何か?を考えてしまう
● 血の繋がった家族でもわかり合えないこともある
● 正しい・間違っているだけで片付けられないこともある
本の世界に入って想像力を鍛える
本の世界に入りこんで、自分が本の登場人物になったらどうするかを考えてみました。
家族同士でわかり合えないことってある?
茶箱
大人になると「家族だからといって全部知ってるわけないわ!」と思うけれど、小さな子どもの頃は家族が一番わかり合えるものだったし、親を信じ切っていたわ
学校など違う社会に所属するようになると、だんだん違った考え・思いなどを知るようになり、信じ切っていた家族に「あれ?」と思うことも増えてくるわね
それとともに、家族でもわかり合えないことが出てきても、しょうがない気がするのよ
しかも、子どもって親は親なりに子どもに対して気をつかい、真剣に子どものことを考えてくれているのがわかるだけに、親に向かって自分の意見や考えを素直に言うのを遠慮しちゃったりするのよね
どんどん親との距離は広がってしまう気がするのは寂しいけれど、 まあ、それが大人になるってことなのかしらね
なにもかも正しいこと・間違っていることと分けられるのかな?
茶箱
社会で生きてくうえで、すべてのことを正しいことだけを選び生きていくのは難しいわ
そもそも正しいことって何なんだろう?
自分にとって正しいことが、他の人には間違ったことかもしれないし
自分の”正しい”を人に押し付けていない?
自分の価値観だけでモノを決めつけていない?
いい年をとった大人の自分自身が心配になったよ(笑)
主人公のちひろちゃんの意識の変化は?
茶箱
ちひろちゃんは最初はお菓子が食べられる、いろんな人と会って話せるからと楽しんで宗教の集まりに行っていたけれど、大きくなるにつれて、自分の周りの人たちの宗教への考え方を知るにつれて「あれ?」と思い始める
それがいいとか悪いとかではないのだけど、「あれ?」なんだよね
今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなるような
ちひろちゃんは大人の階段を上っている途中なのかな
今村夏子『星の子』 役立つちょこっとメモ
●主人公:林ちひろ 幼少期から中学3年生
●主な舞台:ちひろが中学3年生の頃
●フリガナなし
●本の長さ:220ページ(単行本)
●『星の子』は第157回芥川賞および本屋大賞2018の候補作になった作品
●作者の今村さん(1980年生まれ)は、デビュー作『こちらあみ子』を第24回三島由紀夫賞受賞で飾り、2019年には『むらさきのスカートの女』で令和初第161回芥川賞を受賞した作家さん
茶箱
天然?ぽさもある純粋な気持ちをもったちひろ
今どきの子にしては珍しく人を疑うことを知らない素直な気持ちをもったちひろ
なのに、その良さはなかなか分かってもらえない(笑)
実は難しいことを問いている物語なのに、ちひろと友達なべちゃんとの掛け合い、ほれっぽいイケめん好きのちひろ、ちひろの両親の行動など、こんなに笑えるなんてというほど笑えたよ
”真剣に考えながらも、笑ってしまう”
しょせん人間なんてこんなもんだよな~とも思えた本でした
*読みどころや想像の世界は、あくまでも私個人の意見です。
茶箱
ちひろちゃんが大好きだったエドワード・ファーロングは、波乱万丈の人生を歩んで、今に至っている
人間の人生なんて山あり谷あり
ちひろちゃんだって、人生の大事なこと信じてきたことがひっくり返ったっておかしくないよ!
続けて学ぶための本は?
映画化された「星の子」でちひろを演じた芦田愛菜ちゃんの読んできた本が気になった人
▼▼本『まなの本棚』がおすすめ