2020年7月29日更新しました。
『運命の絵』シリーズ化第二弾が記事に追加されています。
【著者】中野京子
【出版社】文春文庫
ざっくり本紹介
★ 怖い絵でおなじみの中野京子さんの新シリーズ
★ ムンク、ルノワール、ダヴィッドなど、17の絵画が登場
★ 描いた画家の運命、描かれた人の運命、歴史をも変えたドラマティックな絵画はみごたえあり
★ シリーズ化している
★ 絵画から運命が見えてくる 摩訶不思議なおもしろさを味わえる
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17の絵画(西洋画)はすべてオールカラーで楽しめます。
文庫本だとちょっと小さいので細かな部分が見にくのですが、中野先生のユニークな文章で一気に絵画の世界に入りこめます。
登場する絵画は、時代も画家たちの国も違うさまざまな絵なので、アート初心者も飽きることなく読み切れますよ。
中野先生のアート本は本当におもしろい。
まるで小説を読んでいるように、ひとつひとつの絵画からストーリーが誕生するのですから。
例えば、一度みたら忘れられない!あの有名なムンクの作品『叫び』の運命はというと。
実は、この作品オリジナルも画家本人によるヴァージョンのモノも、どちらも盗難にあっているんです。
1994年盗難 オスロ国立美術館所蔵の作品(オリジナル)
2004年盗難 ムンク美術館のテンペラ画(画家本人によるヴァージョン)
わりと最近の話であることにびっくり。警備システムはどうなっているんだ!とそちらに興味がわいてしまいますが。
それにしても『叫び』は、盗難の運命にある作品なんですね(笑)
今後も要注意です。
”絵画から運命がみえてくる”
運命という摩訶不思議な現象で読み解く。ユニークな美術鑑賞の楽しみ方が味わえる本でした。
本の表紙の絵
ルノワール『シャルパンティエ夫人と子どもたち』1878年
ルノワールの出世作ともいえる作品。パリの出版業者にして美術収集家のシャルパンティエ氏の依頼により制作された母子の肖像画。
当時のブルジョワ階級の一家を描いています。
ちなみに子どもは女の子と男の子。ママの隣に座っているのは女の子の服を着た弟ポール。(当時は小さな男の子に女の子の服を着せていた)
この幸せいっぱいのお金持ち一家の運命は、ポールはどうなるのか?も、本では書かれていますよ。
シリーズ化
『運命の絵』シリーズ化されています。
第二弾の表紙は、マネの晩年の傑作作品<フォリー・ベルジェールのバー>です。
パリのミュージックホール、社交場でもあった酒場。ここでは作品に描かれた女性のようにスタンドバーでは飲み物以外のものも売っていたともいわれています。
生きていくうえで仕方なくなのでしょうか、こちらをじっと見つめる彼女のうつろな目が何かを訴えるようです。
彼女はこの後どうなってしまうのでしょうか?
2作目でも、中野先生のお得意の社会背景や人間関係を反映させた、アート鑑賞法がふんだんに楽しめます。
今回、ゴーギャンの<我々はどこからきたのか~>が登場します。
この作品が出てくるダン・ブラウンの小説もメモされていました。この作品は、ダン・ブラウンの小説『オリジン』の重要なキーポイントとなる作品です。
絵画と小説が組み合わさることで、さらに絵画の見方や小説の読み方に深みが増してきますよね。
▼ダン・ブラウンの小説紹介はこちらから読めます。
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