王と王妃ってどんな生活をしているんだろう。
好きなモノを食べて、好きな服を買って着て、好きなところへ独占状態で遊びに行って、周りの人々にちやほやされて。
うらやましい生活をしているのかな~と思いますか?
いえいえ、話題に事欠かないイギリス王室を見てくださいよ。
日本の皇室よりも親密感のあるイギリス王室は、日本のファッション雑誌でも、ニュースでも注目の的。世界中の人々にさまざまな行動が注目されています。
外出すればニュースになり、パパラッチに追いかけられ、人気があるのもそれはそれで大変なんだろうな~と思いますよね。
王室の人々が注目をあびるのは、どの時代でも同じこと。
彼らは目立つだけにうわさのネタになり、いい時はほめちぎられ、悪くなるとかっこうの悪口の対象となり、終いには存在すら抹殺されてしまうことも。
茶箱
王や王妃も、いいところも悪いところもある、ただの人間なんですけれどね。
おとぎ話のように「ずっと王・王妃として幸せに暮らしましたとさ」になるのは難しいんだろうな
「たいへんなんだろ」と同情すらしてしまう王と王妃
絵画をとおして、実際に波乱万丈の生涯を送った王と王妃がわかる本を紹介します。
『残酷な王と悲しみの王妃』シリーズ2冊
『残酷な王と悲しみの王妃』シリーズは2冊刊行されています。
1冊目に登場する王と王妃
表紙はマルガリータ・テレサ 宮廷画家ベラスケスの作品《ラス・メニーナス》
●メアリー・スチュアート(1542-1587)
スコットランド女王 エリザベス女王のライバル
●マルガリータ・テレサ(1651-1673)
スペイン・ハプスブルグ家の王女 神聖ローマ帝国皇帝レオポルト1世の皇妃 叔父と結婚
●イワン雷帝(1530-1584)
ロシアの初代ツァーリ(英語のキングなどと同じ)
●ゾフィア・ドロテア(1666-1726)
ハノヴァー公国(ドイツ)選帝候およびイングランド王ジョージ1世の妻 絶世の美女
●アン・ブーリン(1500?-1536)
イングランド王ヘンリー8世の2番目の妃 エリザベス1世の生母
2冊目に登場する王と王妃
表紙は妻はマリア・ルイサとカルロス4世と子どもたち 宮廷画家ゴヤの作品《カルロス4世家族像》
●ルートヴィッヒ2世(1845-1886)
バイエルン王(ドイツ) 狂王の異名がある
●アレクサンドル三世妃マリア(1847-1928)
デンマーク王女からロシア皇帝アレクサンドル3世の皇后に
●カルロス4世(1748-1819)
スペイン王カルロス3世の次男 妻はマリア・ルイサ
●カローネ・マティルデ(1751-1775)
デンマーク・ノルウェーの王クリスチャン7世の妃
王と王妃の波乱万丈の人生
その家に生まれついただけで、ほぼ決まってしまう運命。
男であれば向き不向きに関係なく王になることになり。
女であれば、美人に生まれようが、頭のよかろうが政略結婚のコマとなることになり。
結婚相手が悪ければ、どうにもならない人生を歩むことになってしまう。
血筋を大事にするので、近い親戚と結婚するなんて当然のこと。
子どもをつくることが結婚の目的なので、夫婦の年齢差も関係なし。
今では考えられない、おじさんと姪の結婚は当たり前の世界です。
そんな状況が生み出すさまざまな悲劇は想像を絶するすさまじさがあります。
ほぼホラーにちかいような(笑)
夏の怪談にも匹敵する、背筋がぞ~と寒くなるものばかりです。
中野先生の必殺技で世界史を克服
中野先生は、これらの歴史的な王家の内情を彼らの絵画・肖像画を通して教えてくれます。
これが中野先生の必殺技です!
絵画をみることによって、ヨーロッパの国々の歴史上の人物も、その人の顔や背丈、雰囲気がわかるので、ぐっと身近に感じることができます。
さらには当時の社会背景の説明があるので、世界史が苦手なひとでも一からわかりやすく読むことができます。
世界史の勉強にも役立つ本です。
同じ名前だったりと、わかりにくい・覚えにくいヨーロッパの王家の人々の名前
複雑に入り組んでいるヨーロッパの覇権争い
小国が乱立していたヨーロッパの地理的な事情
などなど
日本人がとにかく世界史が苦手・わかりにくいと思っているヨーロッパの歴史も、絵画を通して教えてもらうと覚えやすくわかりやすいです。
下世話な話しに興味しんしん
誰と誰の子がこの王で、奥さんはこの国の王妃で。
この時代にどことどこの国が戦争をして。
といった教科書的な世界史よりも楽しい話を中野先生は教えてくれます。
実は、あの王妃の子は王の子ではない!
あの結婚にはこんな秘密が!
え~!あの人とあの人ってそんな関係なの!?
あの王って、そんなこと企んでいるの?
と驚きでいっぱい。
歴史上の王と王妃のプライベートまでがどんどん明らかに!
ワイドショーをみているような、女性週刊誌を読んでいるような気分で楽しめます。
あんなにわかりにくい・覚えにくいと思っていた世界史が、一気に興味ぶかいものになりますよ。
社会学的な見方も身に付く
生まれながらの運命も
政略結婚も
近親者との結婚も
現代の私たちの感覚からいえば「げ~、気持ちわるい」と思うけれど、それが当然だったので、それらに対して本人たちは何とも思っていなかったようです。
歴史的事実は、現在の価値観から見るとまったく違うものにみえてしまいがちです。
その社会の合理性、当たり前が今と違うという見方をもって、歴史的な物事を考える力もつきます。
これが社科学的な見方のひとつです。
中野先生の時代背景を踏まえたアート鑑賞は、いろいろな勉強になりますよ。
まとめ
中野京子さんの『残酷な王と悲しみの王妃』シリーズ本は、世界史が苦手な人にこそ役立つ本です。
世界史を学んでいるとき、ヨーロッパの歴史でつまづいたら、教科書を読む前にこのシリーズ本を一度読んでみるのをおすすめします。
世界の歴史上の人物たちが、ぐっと身近な存在に感じられて世界史にも興味をもてるようになりますよ