「美術の絵って計算されつくして書かれているのか!」
驚愕の一冊を紹介します。
この年齢になって新しいことを知ること、学ぶ楽しさを感じられた本なんですよ。
本『絵を見る技術』
【著者】秋田麻早子
【出版社】朝日新聞社
驚愕!絵を見る技術があった
私は美術鑑賞が好きになるまで、マネとモネは同一人物(フランス語と英語の発音の違いだと思っていた)だと思っていたぐらいの美術レベルでした。
ここ数年は展覧会などに行き絵を見てきましたが、”THE文系”の私は、絵から受ける印象、五感をつかって絵を感じましょう系の絵を見る楽しみ方をしてきました。
最近は絵にある背景を少しでも知って、さらに絵を楽しむ方法があるんだな~と思っていた程度の美術鑑賞レベルでしたが。
この本『絵を見る技術』は、そんな私に驚愕させる”絵を見る技術”を教えてくれました!
まず、絵はセンスのある絵の上手い画家が、思いのたけをキャンパスにぶつけたものと思ってたのですが、まったく違うことがわかりました(笑)
名作と呼ばれるような 絵画作品には、やはり人の目を惹きつけるように計算された書き方、モノや人の配置がされてていたのです。
この本を読むと、画家であり建築家でもある人が多い理由もわかりますね。
目線の流れを促す描き方、絵画の中心人物・モノの描き方、それには法則があるんですよ。
『絵を見る技術』では、そんな技術ひとつひとつを例になる絵で丁寧に解説してくれます。
読めば読むほど、ひとつひとつの絵を見る技術に「なるほど~」とうなづいてしまいますよ。
君は見てるが観察していない
作者の秋田さんは、人は何かを見ているときに漫然と見てしまっている。
といいます。そして名探偵ホームズのせりふを紹介しています。
「君は見ているが観察していない」
そうなんですよね!
結局展覧会に行っても見てはいるけれど、観察はしていない。
こんな色で書かれていた、美しかった、おもしろかった、ダイナミックだったなどの感想はもてますが、その絵はそれだけの魅力ではないのかもしれませんよね。
絵を見る技術を知っている人は、知らない私よりも何倍も、いや何十倍も美術鑑賞を楽しんでいたのか!とちょっと悔しくなりました。
本『絵を見る技術』から学べること
絵の主役がわかる
絵の主役は誰なんだ!何なんだ!がわかる方法
名画が人の目をとらえて放さないのはなぜか
経路がかくされていた!
名画を見る計算された目の動き方
絵のバランス
絵のバランスは名画の絶対条件
左右対称であっても非対称であっても、そこにはきちんと法則が隠されているのでバランスが保たれている
なぜ、その色?
直感や好みに惑わされない「色の見方」
名画の構造
名画は建築物のように計算されつくした構造がある。
名画を十字線、対角線をつけてみてみると浮かび上がってくる構造、黄金比や、三分の一の法則、ルート矩形などの数学的要素もでてきますよ。
だから名画なんだ
仕上げの質感、形の反復など絵の表面的な統一感を学ぶ。
そして、最後に今まで学んだ絵を見る技術を駆使して、名画中の名画ティッティーアーノ「ウルビーノのヴィーナス」、ルーベンス「十字架降架」の2枚を徹底的に考察して終わります。
ビフォーアフターの世界
私、スゴイ能力を身につけてしまった気がします(笑)
とにかく今すぐにでも、この絵を見る技術をつかって絵を鑑賞したくなりました。
さっそく家にある美術の本で「絵を見る技術」で学んだ技術を駆使して絵を楽しんでみました。
もう、まったく違いますよ!
ビフォーアフターの世界です。
あの音楽とセリフが頭に流れてきましたもの!
タララ~ン、タララ~、タラ~ンララン
「なんということでしょう、あの適当にみていた絵がまるで計算されつくした建築物のように見えてきました」
学ぶの楽しい!
美術館の再開があいまいなこの時期こそ、絵を見る技術を身につける時です。
『絵を見る技術』は、一回読んでまず技術にびっくりした後は、何回もよんで自分の美術を見る力として身につけていくのがおすすめの読み方だと思います。
新しいことを学ぶと、今まで隠れていたいろいろなことが見えてくる
そんな学びの楽しさも教えてくれる本です。
絵はカラーで見られますし、図もふんだんに使われているので、読みやすくわかりやすく書かれています。
高校生や大学生なら問題なく読めるレベルの本なので、家族で回し読みしたくなりますよ。
(中学生くらいでもがんばればいけるかも。)
この技術を若い頃から知っていたら、すごいな~。
まとめ
本『絵を見る技術』で、絵を見る技術が理論的にわかりやすく学べました。
ひさしぶりに「何かを新しく学ぶ」楽しさ、ワクワクさも感じさせてくれる本でした。
憧れのシャーロック・ホームズに「君は見ているが観察していない」と言われないためにもこの技術をマスターしたいなと思います。
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