日米対決 「はかない恋」
自分はこころがあったたまるような熱い恋をしたいと思いながら、なぜか心が惹かれる「はかない恋」。
自分が当事者だったらつらいことも多そうだけど、そういうものが美しいものだったりします。
「はかない恋」をえがいた日米の小説を読んでみましたよ。
アメリカ代表『グレート・ギャッツビー』
若いころの恋愛って美しい想い出にしておくのが一番いいのよ
作者はF・スコット・フィッツジェラルド
舞台は1920年代のアメリカ・ニューヨーク
若い頃に恋愛関係で結婚の約束もしていた男女だったが。
結局ふたりは結ばれることなく、女は別のお金をもった男と結婚し何不自由なく暮らしている。(子どももいる!)
一方、どうしても彼女が忘れられない男は、彼女の家・生活が見える場所に大きな邸宅を建て毎夜毎夜大騒ぎのパーティーを開いて「自分ここに居ます」アピールをするのです。
ようやく男の邸宅パーティーに彼女がやってくる!
久しぶりに会った二人は?
そして二人の関係の最後はどうなるのでしょうか?
大人ならわかる恋愛?
男の女を想う気持ちが痛いのよね。
女としてはこんなふうに愛されたら幸せな気持ちになっちゃうわよね。
とおばちゃんたちの声が聞こえてきそうです。
でもどうしてなのかしら?
好きだ好きだと言われると、人間ってどんどん引いていってしまう気がします。
ある日、ふとやってくる感情。
うれしかった愛情が、窮屈で重く感じたり。
自分が自分でなくなってしまうような気分になったり。
私が最初に読んだ若い時は、女がすごくわがままに思えたけれど、自分が少し大人になって読み返すと同じ女として「なんだかわかるかも」と思えるんですよね。
日本代表『春の雪』
恋をするとどうして意固地になっちゃうのかしらね?
作者は三島由紀夫。
舞台は明治末期の東京
東京にはまだまだ貴族や皇族といった人たちが存在していました。
彼らには強い繋がりがあり、結婚などはその中で行うのが当たり前のような社会だったのです。
そんななかで幼馴染のように成長してきた男女二人はお互いが気になっているのになぜか素直になれず。
そうしている間に女は皇族の男性と結婚することが決まってしまいます。皇族との結婚、つまり天皇からの許しを得た結婚はもうあともどりできないのですが。
若いからの恋のかけひき
平成・令和時代の自由恋愛が当たり前の社会では、ちょっと理解できないようなこともありますが、それがまた現代の私たちを魅了します。
まるで美しい巻物を読んでいるかのようなストーリー。
とにかく美しい三島文学の世界に引き込まれます。
二人の自意識の高さ、プライドの高さが二人の恋を邪魔してしまいます。
あの時だって、あの時だって、チャンスはいくらでもあったのに。
結ばれないとわかったら大胆な行動をする若いふたり。ゲーム感覚の駆け引きなのか?それが恋愛なのか?
若さって怖いわと思い、さらに三島由紀夫の文体の美しさがどんどん強まってきて怖さが倍増していきます。
グレート・ギャツビーとは違って、最初に読んだときよりも大人になって読んだ方が二人の恋の結末に納得がいかない気持ちが大きくなりました。
素直になればいいだけなのに。
最近読んだら「何してんだよ!」と怒りたくなってきました。
素直になれないのが若いっていうことなのかもしれませんね。
まだ私が10代後半で最初にこの本を読んだときは、なんて美しい恋なんだろうと心をときめかせましたから(笑)
まとめ
はかない恋の日米対決はいかがでしたか?
アメリカの恋愛は男女がまったく違った結末を迎えてしまいます。大人向けの恋愛です。
日本の恋愛は、純愛ともいえるのでしょうか?若さゆえの結末が待っています。
どちらも恋愛も恋をしたからこその結末だと思うと、恋って恐ろしいなとも感じます。
恋愛とはうまくいかない方が多いといいます。
小説のような、はかない恋の経験をするかもしれません。
それがあなたの成長の糧となりますように。