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美術史家 宮下規久朗氏が伝授! モチーフやしぐさから美術を読む本3冊

 

日本では美術展覧会が年に何回もあちこちで開かれて、世界的に有名な名画が毎年のように来日し大騒ぎになります。

 

「せっかく日本で世界の名画が見られるのだから」といそいそ出かけてみたものの、なんだかよくわからなかったな~ということってありますよね。

 

芸術的センスのない自分にがっかりしたりしていませんか?

 

安心してください。

それはあなたの感性が鈍いわけではないのです。

絵画の見方がわかっていないだけなんですよ。

 

 

宮下規久朗 モチーフやしぐさから美術を読む本3冊 

絵画の見方は専門家に教えてもらうのが一番。

美術史家 宮下規久朗氏がモチーフやしぐさから絵画を見る方法を教えてくれる本3冊を紹介します。

 

「モチーフで読む美術史」

 

 

表紙はヤン・ファン・アイク《アルノルフィーニ夫婦像》

 

お笑い芸人のような能面顔の男性とおとなしそうなお腹が大きい女性。

壁に掛けられた鏡がちょっと不気味な作品。床には靴らしきものが転がり、犬がじっとこちらを見ています。

日本人感覚的には、絵画のバランスや色使いもインパクトがありますよね。

もし展覧会に行ってこの作品を見たらもつ感想ってこんな感じでしょうか。そして「さあ、次の作品を見てみましょう」となるはずです。

 

本書ではこの絵画に描かれた「犬」をモチーフとして取り上げています

犬が女性の傍らに描かれていると、その女性の夫への貞操という美徳を示しているそうです。ちなみにこの絵は結婚記念肖像画という説が有力だそうですよ。

 

絵画に描かれているモチーフについてわかっていると、絵画が表現する意図を自然と読みとれるようになります。

 

*本書で取り上げるモチーフは動物、食べ物、日用品など66点。

*カラー図版150点。

 

「モチーフで読む美術史2」 

 

 

表紙はフランクフルトの画家《妻との自画像》

 

「パンと豆の料理おいしくなさそう。ふたりの表情も硬いなね~」、「ちょっと男の人篠原涼子の旦那さんに似てない?」「そうそう市村正親でしょう」

友達とこの絵画をみたらこんな会話をして終わりになるかな。

 

本書では女性の白い頭巾やテーブルの上にとまっている「蠅」について書かれています。

なんと「蠅」は、なんの意味もなくわざわざ画中に描いて技量を誇示するものだったり、画家のいたずら心であったりするものらしいです。

蠅を描くことが流行した時代もあったそう。おもしろい話しですね。

 

蠅というモチーフの意味を知らないと蠅についてはまったくスルー、絵画のもつ蠅のおもしろい秘密は知ることなく終わってしまいます。

 

*本書で取り上げるモチーフは動物、食べ物、日用品など50点。

*カラー図版250点。

 

「しぐさで読む美術史」 

 

 

表紙はフランス・ハルス《酒場の若い男女》

 

「子どもみたいな男の子がお酒を飲んでいるのかしら?」

「それにしてもすごくゴージャスなファッションね。」

「正面の男の子サッカーの久保君に似てない?」

なんて感想を言い合って見終わるであろうこの作品。

 

本書ではこの作品の「笑う」というしぐさに注目しています。

「笑う」という楽しさや幸福を表すしぐさが描かれている作品をいろいろ紹介しますが、なぜか不気味な笑顔がだらけの作品が並んでいて笑えてきます。

 

本書で取り上げるしぐさ・動作は、悲しみ・怒りなどの感情表現のもの、祝福や腕組みなどの儀礼的・慣習的なもの静的なもの、食べたり踊ったりする直接的動作・運動的なものなどがあります。

 

*カラー図版は200点以上。

 

3冊の本の特徴

 

著者は?

 

作者は山下規久朗(みやした きくろう)さん。

1963年生まれ。東大の大学院を修了している美術史家。絵画に関する著書がたくさんあります。

 

本はわかりやすい文章で、美術に疎い人でも読みやすく書かれています。

専門書というよりもエッセイのように書かれているので、高校生なら十分に読めるレベルの本です。

 

膨大な数の絵画

 

モチーフごとに豊富な数の絵画が載っています。

ひとつのモチーフにつき数種類の作品があるので、いろいろな作品を通してモチーフの描き方の見比べができますよ。

 

フルカラー

 

3冊ともに掲載されている絵画はほとんどカラーで見られます。

 

文庫本なので絵画が小さくて見にくい点もありますが、小さいのでなおさらじっくり見入ってしまいます。

じっくりみていると今まで気づかなかった発見をするかもしれませんよ。

一部は白黒絵画もあります。

 

宗教画・神話がわかりやすい

 

特に日本人にわかりにくい絵画といわれる宗教画や神話についての絵画はこの3冊を読んでおけばだいぶわかりやすくなります。

 

ひとつひとつをしっかり覚えなくてもなんとなく「そういえば、そんなことが本に書いてあったな」「あ~、ここらへんのこと本で読んだわ」と絵画を見るだけで気づけるようになるはずです。

 

そうなれば、もう美術初級者は卒業ですね。

 

西洋画と日本画の違い

 

西洋画だけでなく日本画も取り上げられています。

 

同じモチーフを西洋画と日本画ではどんなふうに描かれているのか、違いはあるのか、同じなのかなどなどを見比べる楽しみがあります。

 

絵画を見る方法  

 

その絵画に描かれているモチーフやしぐさ・動作を理解すると、同じ絵画でも今まで見てきた絵画とはまったくちがった絵画が見えてきます。

 

美術絵画から宗教や、その国について、その当時の社会情勢さえも見えてきます。絵画鑑賞ってほんとうにおもしろい。

 

まとめ

 

いかがでしたか。

 

『モチーフで読む美術史』2冊と『しぐさで読む美術史』 を読めば、「今までなんとなく絵画を見ていた。」「絵画鑑賞って何が楽しいのだろう?」といった推理小説を解くような気分で絵画を鑑賞できるようになります。

 

モチーフやしぐさから美術を読む本3冊で、新しい絵画の見方にマスターしてくださいね。