2021年4月20日更新
時代が変わる今こそ読むべき本を紹介します。
●歴史が好きな人
●新時代「令和」がどんな時代になるのかと思ったとき
●司馬遼太郎の大作小説に挑戦するまえに
『歴史の中の日本』司馬遼太郎
【著者】司馬遼太郎
【出版社】中央公論社
⇒文庫本の発売日が1994年、単子本の初版は昭和49年5月です。
『歴史の中の日本』司馬遼太郎
平成⇒令和にかわる記念すべきゴールデンウィーク
教科書とはまったく違う司馬視点で読み解く日本
エッセイのような当たり口の本なので読みやすい
昭和の大作家”司馬遼太郎”の人間性がにじみでる一冊
茶箱
「時代が変われば変わるほど見落とされがちなことも見えてくるかも」
司馬遼太郎とは
1923年(大正12年)8月7日 大阪生まれ、1996年(平成8年)2月12日に亡くなる。小説家、ノンフィクション作家、評論家。
『梟の城』で直木賞を受賞。代表作に『竜馬がゆく』『燃えよ剣』『国盗り物語』『坂の上の雲』などがある。『街道をゆく』をはじめとする多数のエッセイなどでも活発な文明批評を行った。
【参考:「Wikipedia」】
司馬さんの作品の中では、『坂の上の雲』がNHKのドラマ(なんと3年(2009-2011)にもわたって放送された)が記憶に新しいです。
東大阪には安藤忠雄さんの建築による「司馬遼太郎記念館」もあり、現代でも圧倒的なファンの多い作家さんです。
表紙の謎
この本のカバー表紙は《色絵5艘船文独楽形大鉢(部分)》(箱根美術館蔵)です。
表紙にこのデザインを選んでいるということは、司馬遼太郎は「黒船が来航して開国・明治維新を迎えたことが、日本の歴史を大きく変えた転換ポイントと考えている」という意味なのかな?と推測しました。
ちなみに、私は読了後いつも、この表紙を見ていろいろ考えてたあと、カステラが食べたくなるんですよね~(笑)
司馬遼太郎の歴史観
司馬遼太郎作品の魅力は、歴史の授業で学んだ日本がまったく違ったものに見えてくることです。
明治天皇を追って殉死した誇り高き男、日本国中から愛された尊敬されていたと歴史の時間に教わった(私は)乃木希典を無能と評していたり 。
(もちろん世の中には無能説に反論する人の意見もありますが)
司馬さんは自身の作品を「フィクションである"とはっきり言明している」そうです。
司馬さんの考えがすべて正しいとは限らないとは思いながらも、司馬遼太郎の歴史観は、私のように日本という国をただ教科書・歴史の授業でしか学んでいない人が日本を考える大きなきっかけになると思います。
大事件だけが歴史ではない
もちろん歴史は大事件だけで成り立つことはありません。この本では教科書には出てこないことも取り上げています。
●「幕末を生きた新しい女ー竜馬をめぐる才女たちー」⇒歴史では取り上げられない女性の活躍
●「血はあらそえぬ陶器のはやり」⇒日本人が愛する陶器について
●「忍術使い」では忍者について
私が一番おもしろく読んだのは「日本人の安直さ」
日本人の寒さに対する考えを「辛抱すればいいんだ」で語るのが、現代の日本人(特にご老人・学生さん)が暑さの中で熱中症になっていしまう姿が重なります。
辛抱・我慢がどれだけ日本では美徳のように扱われてきたんだろうか?と思ってしまいました。
(それがいいとか悪いとかは私にはわからないけれど)
歴史のテストでは問題にもならないことなんですが、これがまたおもしろいんですよね~(笑)
司馬さんって愛妻家?なの
この本の謎?不思議さともいえるのが、日本の歴史を熱く語ったあとに、後編の「一杯のコーヒー」という章では司馬遼太郎自身についての歴史が語られることです。
必要?、まあ、いいんですけれど(笑)
その中には「私の愛妻記」なんかもあって、奥さまとのなれそめや奥さまの豪快な行動なんかが書かれていたり。
私のような腹黒い女は、昭和の文豪たちが奥さまについて書けば書くほど、やましい女性関係があるのでは?と疑ってしまうんですけれど(笑)
今までの日本国への熱い想いはどこへ?とちょっと戸惑いが生まれてしまう本なのです。
まとめ
『歴史の中の日本』は、日本の歴史という司馬遼太郎の自説をこってり読んだあとに、司馬遼太郎というどこかかわいらしい男を知ることのできる、二重に楽しめる本でした。
「昭和(戦後)」・「平成」は、国自体が日本という国をじっくり考えることを避けてきたような気がします。
読了後、「令和」はもっともっと日本について真剣に考えてみる時代なんではないかなと思いました。
あなたも昭和の大作家の考えた日本の歴史、『歴史の中の日本』を読みこんでみませんか?