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原田マハ美術館へようこそ おすすめ美術小説8作品を紹介⇒追加あり

f:id:pooh70inu:20190224171712j:plain 2021年7月4日更新

 

原田マハさんが描く「史実に基づいたフィクション」のアート物語10作品を紹介します。

 

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 茶箱

原田マハさんの小説を通して美術の魅力に開眼した人も多いわよね

 

原田マハさんは1924年生まれ

お兄様はあの作家の原田宗典さん

 

原田マハさんといえば、ニューヨーク近代近代美術館に勤務していたという華やかな経歴の持ち主。そのご自身の経験を活かして描いた美術関連の小説を多く書いています。

 

こんな人・時におすすめ原田マハさんの美術小説

 

●小説を読みながらについて知りたい

 

●ドラマチックな芸術家の人生にはまりたい

 

●実際に生きていた芸術家が活躍する小説が読みたい

 

 

 

原田マハさんの美術小説10作品

 

ゴッホ、ピカソ、ルソー、セザンヌに、原田マハさんの美術小説で出会うことができます。 

 

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●左:《男と女》パブロ・パカソ 1969  国立西洋美術館蔵

●右:《ばら》フィンセント・ファン・ゴッホ 1889 国立西洋美術館蔵

 

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●左:《第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神》アンリ・ルソー1905-1906 国立近代美術館蔵

●右:《大きな花束》ポール・セザンヌ 1892-95  国立近代美術館蔵

 

美術館に行くとたくさんの画家たちの作品に出会えますが、作品をみるだけでは、なかなか見えてこない画家たちのあれこれ。

 

そんな画家たちのあれこれを小説を読むことでのぞき見ることができるのが、原田マハさんの美術小説なんです。 

 

原田マハ『リボルバー』

 

リボルバー (幻冬舎単行本)

 

ゴッホの才能を愛した男が登場

 

ゴッホというより、ゴーギャンの物語

「自殺なのか他殺なのか?」

アート史上最大のミステリー”ゴッホの死に迫るミステリー物語です。

 

ゴッホとゴーギャンは、ほんの一時期一緒に暮らしていました。

二人はお互いの才能を認め合っていたのですが、二人での生活はうまくいきませんでした。

 

ゴッホが水を吸い込むようにゴーギャンの才能を見習い、自分の作品へと昇華させていく(決してマネではない)のに対して、ゴーギャンはピカソの光り輝くユニークな才能を自分の画風に活かしきれなかったのかなと思うのです。

 

それが、ゴーギャンが自分自身をいらだたせ、ゴッホを避けるような行動をとってしまったのでは。

 

一般的には”俺様キャラ”の強いゴーギャンですが、この作品では、彼の実はナイーブな心の内を赤裸々にはきだしています。

もちろんゴッホもたくさん登場するので、ゴッホが好きな人にもぜひ読んでほしい、おすすめの物語です。

 

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 茶箱

ゴーギャンへの見る目が大きく変わったわ 

そして本流からどんどん外れても、独りぼっちでも、新しいことや自分の信じる道に挑み続けるゴッホとゴーギャンの絵画への熱狂が、私の心を揺さぶったわ

 

表紙

 

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①フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』

 

6点が現存しているゴッホの『ひまわり』

 

カバー表紙(左)は、ファン・ゴッホ自身が気に入った「12本のひまわり」をもとに制作した4番目の作品とされるロンドンナショナルギャラリー所蔵の作品です。

 

カバーの裏表紙(真ん中)は、1987年3月に損害保険ジャパンが落札した『ひまわり』。日本で見られる貴重なゴッホの作品です。

 

②ポール・ゴーギャンの『肘掛け椅子のひまわり』

 

本体の表紙は、カバーを外さないと気づかない!

 

1901年晩年に、ゴーギャンがタヒチや、ゴッホを思いながら描いたとされる作品。額のなかの女性はタヒチの愛人テフラといわれています。

椅子とひまわりは、ゴッホとゴーギャン二人暮らしの象徴的モチーフです。

 

 

原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』

 

美しき愚かものたちのタブロー

 

タブロー(絵画)を守り抜いた男たち

 

「いつか日本に西洋絵画を集めた美術館をつくりたい」と願いヨーロッパでの絵画収集に目ざめた男、実業家の松方幸次郎(1866-1950)の生涯を書いた作品。

 

国立西洋美術館が誕生した軌跡の物語です。そこには松方以外の男たちも大きく関わっています。

 

松方の収集した絵画を異国フランスで命がけで守った謎の男、日置。彼の存在・人生は波乱万丈すぎて恐ろしくもあります。

 

戦後、松方コレクションの寄贈返還をフランスから勝ち取った田代と吉田茂。彼らの強い意志と交渉の力もこの本の読みどころです。

 

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 茶箱

この本を読んだ後に上野公園にある西洋美術館に飾られた作品を見たら涙ぐんでしまうかもしれない。

戦争が及ぼしたアートへの罪は恐ろしくもあり、取り返しのつかないものだったんだわと強く怒りを感じたわ

 

 

原田マハ『サロメ』

 

サロメ (文春文庫)

 

サロメにとりつかれた芸術家たち

 

オスカー・ワイルドの書いた戯曲『サロメ』の挿絵画家オーブリー・ビアズリー(1872-1898)の生涯を書いた作品。

 

作家オスカーワイルドや実の姉メイベルとの危うい関係が、ドロドロの人間関係の中で書かれています。

素直な普通に生きていた登場人物が、『サロメ』という小説にとりつかれどんどん破滅へ向かってしまうのが恐ろしい。

 

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 茶箱

本では場面が変わるたびに真っ黒のページがはさんであるので、戯曲をみているように本を読み楽しめるのも魅力的よ

 

表紙

 

オーブリー・ビアズリーの『サロメ』挿絵の一枚

 

白と黒の細いペン画が生み出す作品。じっくり細部まで見入ってしまう摩訶不思議な魅力があります。

黄色の表紙はオーブリー・ビアズリーが美術担当編集主任をしていた挿絵入り文芸誌「イエロー・ブック」のデザインと同じです。

 

 

原田マハ『デトロイト美術館の奇跡』

 

デトロイト美術館の奇跡 (新潮文庫)

 

市の美術館が消えようとしている

 

アメリカのデトロイト市の美術館で本当に起こった物語が小説になっています。

 

市民が愛する、市を代表する美術館が財政難で存続の危機へ。

 

市民の生活はもちろん重要だが、愛すべき作品たちを売却しなくてはならないのか、もうふらりと気軽に愛する作品を目にすることができなくなるのか。

 

 

美術は見ているだけではお腹はいっぱいにならないし、生きていくことはできないのが現実。

仕方がないと頭でわかっていても、思いのつまった作品が遠くへ行ってしまうさみしさに気持ちがついてこない市民たち。

 

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 茶箱

美術館どうなっちゃうんだろうとハラハラしながらも、市の美術館のアートを愛する市民の気持ち・想いの大きさに胸がぎゅっとしたわ

 

表紙

 

セザンヌ<画家の婦人>1886年頃 デトロイト美術館蔵

 

なんだか怒っているように見えるセザンヌ夫人の不愛想さにちょっとクスリと笑ってしまう一枚。

 

 

原田マハ『リーチ先生』

 

リーチ先生

 

日本の民藝にどっぷりはまった英国紳士

 

イギリスの陶芸家バーナード・リーチ(1887-1979 イギリス出身)の生涯を描いた物語。

 

リーチと交流のあった日本の一流の陶芸家たち濱田庄司(1894-1978)、富本 憲吉(1886- 1963人間国宝)、河井寛次郎(1890 - 1966)も登場。

 

さらには、白樺派といわれた志賀直哉(1883 - 1971 小説家)、武者小路実篤(1885 - 1976 小説家)といった教科書レベルの人物との交流も描かれています。

 

民藝を生み出し愛した、柳宗悦(1889 - 1961 思想家)も登場しますし、明治から昭和初期に活躍した一流の芸術家たちが飽きることなくたくさん登場します。

 

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 茶箱

白樺派の面々や陶芸家たちが移住した千葉県我孫子市での暮らしは、芸術家の村で芸術家たちが意見を述べ合い、お互い切磋琢磨しただろう楽しさも伝わってきたわ

 

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JR我孫子駅の駅前に飾られている「我孫子市ゆかりの文化人」ボード、白樺派メンバー紹介にもリーチ先生がいます。

 

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 茶箱

民藝という鑑賞だけではなく“実際の生活に根付いた美”というものを登場させた男たちの美へのパワーが力強い、国を超えての男同士の友情も感じる本よ

 

西洋と東洋の美が融合したリーチ先生の作品も見たいわね

 

表紙

 

バーナード・リーチ作の絵皿の模様を集めたもの

 

 

原田マハ『楽園のカンヴァス』

 

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

 

原田マハの代表作 へんちくりん?画家の魅力

 

変わった人生を送ったアンリ・ルソー(1844-1910 フランス)の生涯を描いた作品。

 

ルソーと交流があった巨匠ピカソも登場します。

 

2013年本屋大賞第3位、山本周五郎賞受賞など、各賞を総なめした本です。

 

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 茶箱

不思議な作品を描いたルソー自身、なんだかどうにもこうにも”ぱっとしない”あやしげな男

実際にちかくにいたらかなり要注意人物だけど(笑)

 

それでも「彼のピュアな心が、あの夢のような絵画を生み出したんだな」となぜか感動したわ

 

表紙

 

ルソー《夢》1910年 ニューヨーク近代美術館蔵

 

裸の女性がジャングルの中で椅子に座って何かを指さしている。

 

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 茶箱

ここがリビングなら「ちょっとそこにある服取ってよ」とかいう声が聞こえてきそうだけど(笑)

なんせジャングルの中ですからね

 

不思議?すぎて興味がわいてくるわ

 

 

原田マハ『ジヴェルニーの食卓』

 

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

 

キャッチフレーズは「読む美術館」

 

この本は4つの作品の短編集からなっています。

 

「うつくしい墓」⇒ピカソとマティス

 

● ピカソ(1881-1973 スペイン出身)

 

● マティス(1869-1954 フランス)

 

「エトワール」⇒カサットとドガ

 

● カサット(1844-1926 アメリカ出身の女性画家)

● ドガ(1834-1917 フランス)

 

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 茶箱

「うつくしい墓」と「エトワール」は、ライバルでもあり仲間でもある画家同士の物語

仲が良い悪いでは判断できないふたり

 

才能がある者同士個性をぶつけ合いながら生きていく姿がかっこよくもあり、たいへんなんだな~と同情してしまう気分にもなったわ

 

「タンギー爺さん」⇒セザンヌとタンギー爺さん

 

● セザンヌ(1839-1906 フランス)

● タンギー爺さん

➡パリの画材屋と画廊を経営するおじさん ゴッホのタンギー爺さんを描いた作品は有名

 

● 「ジヴェルニーの食卓」⇒モネとクレマンソー

 

● モネ(1840-1926 フランス)

● クレマンソー(1841-1929 フランス)

➡フランスの首相を務めた政治家 モネの親友

 

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 茶箱

「タンギー爺さん」と「ジヴェルニーの食卓」は、画家と画家の絵を支えた実在の人との親交が書かれています。

 

画家自身の人間とその画家の作品への愛、美術を愛するあらゆる人たちの美術愛が、画家や美術界全体を支えていると強く感じたわ

 

表紙

 

モネの《睡蓮》部分 オランジュリー美術館

 

 

原田マハ『たゆたえども沈まず』

 

たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫)

 

ゴッホと弟テオの関係が痛々しい

 

ゴッホの人生を書いた物語

 

兄ゴッホを経済的にも精神的にも支えた男性といえば、ゴッホの弟テオです。

 

ゴッホと弟の異常なくらい親密な関係が、この物語には詳しく書かれています。

 

また、ゴッホと弟テオに関わる日本人美術商、林忠正と加納重吉のパリでの奮闘もこの本の重要なよみどころ。

 

明治時代にこんな風に誇りをもって異国の地パリで生きた日本人がいたんだと驚きます。

 

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 茶箱

ゴッホの絵とゴッホ自身の素晴らしさを一途に信じて愛した弟テオ

そして、上手に愛情を表現できないけれど弟テオを信じて愛していたゴッホ

 

なんともいえない兄弟の純粋なお互いへの愛に心が痛くなる本だったわ

 

表紙

 

ゴッホの《星月夜》1898年 ニューヨーク近代美術館蔵

 

深いブルーのうずまくような夜空が心をざわざわさせる作品

 

 

原田マハ『暗幕のゲルニカ』

 

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)

 

 

モテモテ男ピカソの人生

 

ピカソ(1881-1973 スペイン出身)を描いた小説

 

世界中でこんなにも有名な画家がいるだろうかというぐらいのピカソ。

 

キュビズム作品と呼ばれた何が描いてあるんだかさっぱりわからない作品が多数あることでも有名(笑)。

 

ピカソの代表作<ゲルニカ>が描かれた時代の話と、現代ニューヨーク(9.11事件後)での話が並行してすすむストーリー構成になっています。

 

● 第1のストーリ

 

始まりは1937年パリ

 

ピカソは自分の故郷ゲルニカが空爆されたことを新聞で知る。

 

ピカソが無差別攻撃に対する抗議を絵画で示した作品《ゲルニカ》、ピカソの表現するゲルニカの惨事とは?

 

この時ピカソと付き合っていたのはドラも物語のキーになります。

 

ピカソと離婚の成立していない妻オルガ、ピカソの子を産んだマリー=テレーズ、そして今後ぜったいに出現するだろう女性の存在に大きく揺れ動くドラの心の葛藤も、この小説の重要なよみどころです。

 

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 茶箱

ワイドショーで取り上げられるくらい、ピカソの女性関係はドロドロ(笑)

 

● 並行して進む第2のストーリ

 

舞台は2001年ニューヨーク

 

あのワールド・トレードセンタービルに飛行機がつっこむという衝撃的な事件が起こったことから始まる。

 

この事件で最愛の夫を亡くしたMoMAキュレーターの瑤子が、ピカソの傑作《ゲルニカ》をMoMA(ニューヨーク近代美術館)に展示をするため、スペイン政府への貸出交渉に奮闘するのストーリー。

 

瑤子の持つピカソの作品《鳩》が、二つのストーリをつなげるキーになります。

 

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 茶箱

画家は美術で自分の意志を表現し、その美術の力が人の心を動かす力になるんだと感じたわ

 

表紙

 

ピカソの《ゲルニカ》1937年 マドリッド、レイナ・ソフィア芸術センター蔵

 

白黒で表現された戦争と平和の意義を問う作品といわれている。

 

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 茶箱

戦争の様子を描いたといわれる作品だけど、私にはどうしてもピカソを争う女性がみんなで争っているようにみえてしまう(笑)

 

原田マハ『ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言』

 

ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言

 

大人の絵本のような物語

 

ジョルジュ・サンド(1804-1876 フランス女流作家)が、古い城に飾られた美しいなタピスリー出会った物語。

 

サンドとショパンの恋愛物語と思いきや、ちらちらっとショパンの話がでるだけです。

 

ドラクロワ(1798-1863 フランス 代表作《民衆を導く自由の女神》)が、ちらちら出てくるのが美術好きにはうれしい(笑)

 

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 茶箱

美しいタピスリーが、見開き6ページ(6面の連作)で見られるのよ(もちろんカラー)

この本の素敵な魅力よ

 

表紙

 

タピスリー<貴婦人と一角獣>1500年頃 羊毛・絹 フランス国立クリュニー中世美術館蔵

 

タピスリーの《モナ・リザ》」と讃えられるフランスの至宝ともいわれています。

日本では2013年に国立新美術館での企画展で公開されました。

 

 

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 茶箱

元ニューヨーク近代美術館に勤務していたくらいの原田マハさんだからこそ書けるアート小説を紹介しました。

 

どの作品も読んだ後は、芸術家の作品をたくさん見たくなりどんどんアートと仲良くなれます。

アートに興味がない人でも、読みやすい小説として読むこともできるのでおすすめです。ぜひ手にとってみてほしいです。

 

*画家などの生没年などは、Wikipediaと本『西洋美術 巨匠たちの履歴書』を参考にしています。

 

紹介した本リスト

 

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