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『奇書の世界史』それって正しいの?自分の常識を疑ってしまう怖い本

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長い歴史のなか世界中で多くの本が出版されていますが、未だに謎の多く残る不思議な本や、時代の流れで怪しげな内容になってしまった本があるのを知っていますか?

 

 

 

『奇書の世界史』

 

奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語

 

本書は作者の三崎律日さんがニコニコ動画やYouTubeに投稿しているものを加筆修正したものです。

 

『奇書の世界史』は、いつのまにか時代や価値の移り変わりの中で奇書になってしまった世界中の本をとりあげています。

かつては一般に受け入れられていたが現代では奇書扱いになった本と、「番外編」ではかつては奇書扱いだったが現代では名著となった本が紹介されています。

 

時代が生んだバイブルという奇書

 

『魔女に与える鉄槌』1486年初版

 

魔女狩りが本格化するきっかけとなった奇書

「魔女を見つけ出す技術」

「魔女を自白させるための効果的な拷問法」

「処刑のための教養的に正当な方法」

といったヒステリックな内容にもかかわらず15世紀末~16世紀初異端審問官の必携書だったという。

 

この本が刊行された時代が

・印刷技術の革新がおこり大量に本が生産されるようになった 

・ペストの流行 

・小氷期という気候変動がヨーロッパ全土を襲い終末の雰囲気

この奇書を人々に信じられる本として広めたのです。

 

その時代のバイブルは正しいものなのか?

 

未知への期待が生んだ奇書

 

1704年イギリスで出版された『台湾誌』

 

未知なる世界へのあこがれが奇書を生み出すこともあります。

まだまだ目新しいアジアという大陸へのものめずらしさ、多くのヨーロッパ人には知られていないアジアの実態という社会状況が生み出した奇書が『台湾誌』。

 

当時多くの人が信じた『台湾誌』は台湾のあれこれについて書かれた本。自称台湾人の作者が幼少期を過ごした台湾を記した書物だというが、実は。

 

未知なる世界こそ簡単に信じてはいけない。

 

カリスマによる奇書

 

2000年物理学者シェーンの論文『フラーレンスによる52Kでの超電導』

 

ごくごく最近の奇書も登場!

こんなに簡単にだれもが世界中の情報が共有される時代になっても奇書は生まれるのですね。

 

2000年物理学者シェーンを主としたベル研究所の研究者らによって発表された論文『フラーレンスによる52Kでの超電導』は、当時絶大な人気のあったカリスマ物理学者シェーンの偽造論文だった!のです。

 

「あれ?どこかで聞いたような話?」と思った人も多いはず。

日本でもリケ女としてマスコミに大きく取り上げられて人気のあったあの女性科学者の事件を思い出しますよね。

 

そうです。

私たちもこの本に登場するような「奇書」が生み出す事件に遭遇しているのです。

 

「STAP細胞はあります!」

と叫んだ彼女。

論文が疑われるまで、彼女はあんなにマスコミや世間にちやほやされていたのに。STAP細胞の未知なる可能性も大きく話題になったのに。

 

私たちは最初は彼女の実験の成果を信じていましたよね。

彼女を疑わしいと思っていても論文内容を疑うことはしなかったはず。だって世界的に有名な「Nature誌」に掲載されたのだから。

 

大どんでん返しにびっくりでしたよね。

 

50年後、100年後に『奇書の歴史』と同じような本が書かれたらこの事件も掲載されるかもしれません。

 

STAP細胞事件として本が出版されています。

『捏造の科学者 STAP細胞事件 』(須田桃子(著)/ 文春文庫)

この本と一緒に、もう一度あの事件を振り返ってみるのもおすすめです。

 

 

カリスマという人の発言こそ疑いをまずは持つべき

 

番外編:実は奇書ではなかった奇書

 

『奇書の世界史』では番外編として番外編では当時は怪しい奇書として扱われていたものが、実は正しい理論を述べた本であったというものが取り上げられています。

 

番外編のひとつは「天体の回転」についてです。

 

聖書も保証する地球の周りを月や太陽がまわる天動説が主流の社会のなか

1543年コペルニクスの『天体の回転について』が刊行

当時は奇書扱い

科学者の地のリレーがはじまる

ティコ・ブラーエ、ヨハネス・ケプラーといった科学者の論も信じられることもなく。

1632年ガリレオ・ガリレイが地動説についての自身の考えをまとめた書物『天文対話』を刊行

当時は数か月で発禁になってしまう

ニュートン 友人であり助手のエドモンド・ハレーによって出版されたニュートンの理論『自然哲学の数学的原理』

物理学史上偉大な書物として認知される

ようやく天体の回転について正しい論が認められます。

 

科学以前に信じられていた「神学」は聖書が絶対であって新しい発見などが奇抜なのもとして考えられていたという社会が生み出した奇書たちは100年以上かけてようやく奇書でなくなったのです。

 

まとめ 

 

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 茶箱

「奇書と良書の違いが疑わしくなるよ」

 

 『奇書の世界史』いかがでしたか?

時代が生む恐ろしさや不思議さを楽しめた半面、人間の信じるもののはかなさも感じてしまいます。

自分の常識を疑いたくなる怖い本でした。

私たちが良書として考えている本は100年後も良書なんでしょうか?

あなたの今考えている常識は本当に正しいものなのか考えるきっかけにもしてみてくださいね。