生きているように感じる建物ってありませんか?
建物に入ったとたんに建築家の息吹や、建物を維持している人たちの感性が建物から伝わってくる感じ。
今回は建物の息吹を強く感じる本『特薦いいビル 国立京都国際会館 』を紹介します。
『特薦いいビル 国立京都国際会館 (別冊月刊ビル)』
著者:BMC 西岡潔
出版社:大福書林
発売日 :2019/4
国立京都国際会館メモ
昭和44年(1966)開館
建築家は大谷幸夫氏(1924-2013)
京都中心部から北方面にあり京都駅から地下鉄で20分くらいの場所で比叡山を背にして建っています
本はオールカラー。
ほとんどが国立京都国際会館の写真で構成されています。
インタビューは3本掲載。
建物や内装の写真ひとつひとつ説明や見た印象などがていねいに書かれていますが、文字を読む部分は少なめでほぼ写真集のようです。
写真をみるだけでも、この国立京都国際会館の素敵さがぐっと迫ってきますよ。
京都国際会館の魅力①建物の外観
バックには比叡山があり、宝ヶ池のふちに建つ建物は昭和の金閣寺?のようです。
池が庭園と繋がりみごとな景観をつくりだしています。
建物はコンクリート一色で仕上がっていて一見固く暗いイメージなのですが、おもしろい形のデザインで自然との統一感がある不思議な建物です。
京都国際会館の魅力②建物の内装デザイン
昭和のカラーあふれるレトロデザインがあちこちに。
ステンドグラスや椅子やベンチの色、壁のアート作品、照明、窓枠などなど、見どころたくさんです。
特に椅子はみどころ。その場その部屋の内装とあわせたさまざまなデザインの椅子が置かれています。
まるで椅子コレクション会場のよう。
また国際会議が多くおこなわれ外国人が多く訪れる場所ということもあり、竹をつかったものやちゃぶ台風のテーブルなど日本らしいデザインの家具なども見ることができます。
家具や室内装飾の多くはインテリアデザインは剣持勇(1912-1971)さんの作品です。(剣持氏はヤクルトのデザインも手掛けた人。)
建物だけでなく家具なども見逃せません。
京都国際会館の魅力③建築家大谷イズム
京都国際会館は現代の無駄を省く何もない無を目指す現代の人気スタイルとは違う、こだわり満載の建物です。
そのこだわりは建築家大谷さんのもの。
建築はその時代を大きく反映したものであり、建築家が想像力豊かに個性をはきだしてつくりだしたもので、建築家自身であり建築家の子どものようなものなのかなと感じました。
「国立京都国際会館」の本を読んでいると大谷さんと会っているような会話をしているような感じになりますよ。
これからも建物は改築や補強などで変化していくのでしょうが、根本的な大谷イズムは継承されていければいいなと強く感じます。
まとめ
茶箱
「昭和レトロな内装がかわいすぎ」
いかがでしたか?
京都国際会館、気になりますよね。
京都国際会館の魅力感じてもらえましたか。本を読むとさらに建築家大谷イズムを感じながら建物の中をめぐっているような感覚になれますよ。
*この記事の写真は、ジュンク堂池袋店で2019年5月に開かれていたパネル展示を撮ったものになります。