タイトル:「ヘンな日本美術史」
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37点(50点満点中)
お気に入りフレーズ
ヘンなものを取り入れるのが好きな日本人
お茶も中国から伝わったものを日本で独自に発展させたものですが、茶器一つをとっても日本と中国では大分違います。中国では基本的にシンメトリカルなものが好まれ、瑕(きず)のないものが良しとされます。
見えない中心軸のようなものがあって、そこからどう外して展開していくか。これをやらせたら、日本人は巧い。大きさや色、形と云ったものから、それが在る座、主客も含めて違う次元のものでぎりぎりのバランスを取ることに長けています。
これは、茶道のお稽古でも先生から言われることです。
「お道具もちょっと外して作ってあるはず。」とか。
この前は、新しく使い始めたお釜の左右についている「鐶付(かんつき)」の「いのしし」が微妙に違うのに気づいた?と言われました。言われれば「いのしし」、片方の子がちょっと太めです!
すごい。おどろきでした。感動しました。
また、あるときは「お菓子を盛る時は、少し斜め気味に」と、気持ち外すことでバランスをとることを求められます。
たしかに、少し外した方が、カクカクとした直角よりも気持ちが落ち着きます。
これは日本人の「ヘン」な感覚であって、これが「粋」なんですよね。
莫迦(ばか)っぽい絵「慧可断臂図(えかだんぴず)」
このタイトルにびっくり!
あの雪舟の代表作と言われている作品を、莫迦ぽいなんて!!
でも、はっきりと
見れば見るほどやはりヘンです。
と言ってくれていることに、ちょっと安心した自分がいました。だって、私もこの絵「ヘン」だと思っていたからです。よかった~。
感想
美術展でも西洋画を見に行くことが続いた後に、ふと日本画を見に行くとなんだか落ち着いて「やっぱり自分は日本人なんだな~」と思うことがよくあります。
そして、日本画かっこいいな~と感動します。
その中でも、日本人が描いた油絵をみると「あれ?」と思ってしまうことが多いです。西洋画を学んだという巨匠の作品を見ても、「なんだかストンとこない」「なんだか気持ち悪い」と思ってしまいます。良さがイマイチわからないんです。
自分に刷り込まれた日本人の感覚に合わないと思うのです。
美術やセンス、デザインはしっかり学ぶことがなくとも、やはり育った環境でなんとなく染みついてしまうものが大きいのだなと感じました。
日本画や絵巻などは、じっくり向き合ったことのない美術なのでこれから日本人らしい目で楽しんでいきたいなと思ってきました。
また、気になっている画家の山口晃さんの人柄が出ている本で楽しかったです。文章中のタイトルを見るだけでも、興味がわいてくる本です。
おススメしたい人・おススメのシチュエーション
☑日本人らしさを感じたいなと思った時に。
☑若き画家、山口晃さんの魅力について知りたい人へ。