「もう若くないから」というセリフが口癖になりつつある人へ。
自分の年齢と現実がかみ合わないと感じている人へ。
女性の気持ちがわからないと思っている男性へ。
おすすめしたい本を紹介します。
「ガール」奥田英朗
【著者】奥田英朗 著
【出版社】講談社
奥田さんって本当に男?
ほんとうにこの本を書いたのって「男性」なの?!
というのが、第一印象です。
作者の奥田さんの女性のファッション・心理の描写が、ちょっと生生しくて怖いぐらい。
誰に教わったのかしら?雑誌を見て研究したのでしょうか(笑)
本は5編の短編集。
どの作品も主役は30代の女性です。
彼女たちは、ファッションも生き方も恋愛も仕事もそれぞれだけど、どの主人公の女性も、女性という立場で悩むことは共通です。
どこかで必ず聞いたことがあるような話が繰り広げられることに、自然と話に入りこんでしまいました。
同じ年代の女子の悩みをカフェで一緒に聞いているような感覚の本なんです。
「そうなんだよね~」「なんでこうなっちゃったんだろう」という女子の叫び。
でも最後には「うん。でもさ、一緒にがんばっていこうよ」と励ましあい、「女子でよかったよね~」と言う会話も聞こえてきそうです。
とにかく自分の心にズシンとくるセリフが多いのが、この本の魅力。
「この男は、女房とホステスと部下しか女を知らない。そのいずれかには鷹揚に接し、守ってやるという姿勢を見せる。そして、男の庇護を求めない女に対しては、ひたすら敵対心を燃やす。」
「ヒロくん」より
時代錯誤のような感じがしますが、いますよね~こんな人。
さらには、表では男女の差別などないような振りをしたりするのに、どこかしらに「女なんて」という本心がチラチラみえたりする男。
普段は男女差別なんて感じたことがなくても、突然に結局は「女」はダメなのか」と思わせる現実社会を、つきつけられることもあります。
アメリカ大統領選挙の時も、アメリカは女性大統領に「NO!」なんでは、と言われたこともありました。(ヒラリーだからダメなのかもしれませんが)
それにしてもこの言い回しが笑えます。
ちっちゃい心をもつ「男」に対して「クスッ」と笑えるような。
”この男”をまじまじとリアルに想像できるこのセリフに笑えます。
「ここ2、3年の間に、そういうのがバーっと起きて。オセロみたいにパタパタって、白が黒に裏返って。認めたくないけれど、もうガールじゃなくなった。それを思ったら、なんだかすっごくブルーになって」
「ガール」より
部内の上司の後輩の女の子に対する態度と自分に対する態度が違うことに気づいた千恵が同期の友達に話す言葉。
もちろん後輩ちゃんは「女の子」として可愛がられる。今までは自分がその立場だったのに、気づいたら。
これも「あったな~。こんなこと」と感じる内容。私も、ふと気づいたら「黒」にひっくり返っていた。私自身は何も変わってないのに(年齢以外は)。
不思議だけど、そんなもんなんですよね。
今は、そんなふうに客観的におもえるけれど、気づいた時はショックだったな~。
まとめ
初めてこの本を読んだときは、私も当時は30代半ばで、現実の年齢に自分がついていけなくなった頃。
今でも 仕事場で不快な思いをしたり、女子であることに疲れてきた時にそっと取り出してこの本を読みます。
いつ読んでも、どの作品も爽快な結末に、すっきりします。
少し大人になった今の私は、30代半ばの私に「どんどん、若くないことにも慣れてくるよ。そして、若くない自分もかわいく思えてくるから」と励ましてあげたかったな~と思うんです。
そんなエールを同じ思いをしている人にこの本をとおして贈りたいです!